「今が一番の売り時だと思って」― ロレックス サブマリーナ14060を手放した理由

⌚先日ご来店いただいたのは、ロレックス サブマリーナ ノンデイト（Ref.14060）をお持ちの50代男性のお客様。
20代の頃に思い切って購入されたという一本で、長年大切に使われてきたそうです。

⌚「若い頃からずっとロレックスに憧れていて、この14060は初めて自分で買った高級時計なんです。
でも最近は仕事でもプライベートでも腕時計をつける機会が減ってきて…。
それに、ここ数年ロレックスの相場が上がっているって聞いて、そろそろいいタイミングかなと思いました。」

⌚店頭で査定額をお伝えすると、想像していたより高かったご様子で少し驚かれていました。

⌚「状態も悪くないし、アルミベゼルのモデルは今はもう出ていないって聞きました。
価値があるうちに誰かに使ってもらえる方がいいと思ったんです。」

⌚市場では、サブマリーナ14060のようなクラシックなモデルの再評価が進んでおり、
「今がまさに売り時」と感じてご来店されるお客様が増えています。
思い出の詰まった時計を、良いタイミングで手放したいというお気持ちは、同世代の方にも共感される方が多いのではないでしょうか。

外装コンディション（ケース・ベゼル・ブレスレット）

ロレックス サブマリーナ14060の査定において、最も目立つポイントが外装の状態です。
このモデルはステンレススチール素材（Ref.14060はオールスチール仕様）で、耐久性に優れていますが、使用頻度や保管環境によってコンディションに大きな差が出ます。

特にチェックするのは以下の3点です。

⌚ケースの傷や打痕、研磨状態
　落下やぶつけた際の打痕、または過度なポリッシュで角が丸くなってしまっている場合はマイナス評価になります。
　逆に、オリジナルのシャープなラグ形状を保っている個体は“手を加えられていない”と判断され、高く評価される傾向にあります。

⌚ベゼルの傷・退色・クリック感
　14060はアルミベゼルを採用しており、経年による色あせや小傷が出やすい部分です。
　ただし、**自然な経年変化（ヴィンテージ感）**として好まれるケースもあり、
　無理に新品のように磨かれていない方が高評価になることもあります。
　また、回転ベゼルのクリック感がしっかりしているかどうかも動作チェックの対象です。

⌚ブレスレットの伸び・ヨレ・バックルの状態
　ブレスのコマが緩んで“伸び”が出ていると、全体の印象が大きく変わります。
　また、バックルの締まり具合や摩耗の有無も査定時に確認します。
　ブレスレットがしっかりしている個体は、全体の印象が良く、査定額にもプラスに作用します。

⌚このように、外装コンディションは単なる“見た目のキズ”だけでなく、
オリジナルの形状・使用感・経年のバランスを総合的に判断します。

付属品の有無と年代の一致

ロレックスの査定で非常に重要なのが、付属品の有無と内容の整合性です。
サブマリーナ14060の場合、長い製造期間（おおよそ1990年～2012年）を経ており、
年代によって仕様やシリアル刻印の位置、保証書の形式などが異なります。
そのため、時計本体と付属品の年代が一致しているかどうかが査定時の大きなチェックポイントとなります。

⌚主な付属品の例

・外箱・内箱

・保証書（ギャランティーカードまたはペーパータイプ）

・クロノメータータグ・グリーンタグ

・ブレスレットの余りコマ

・説明書・冊子類

⌚これらがすべて揃っている“フルセット”の状態であれば、数万円〜10万円以上のプラス査定になることもあります。
特に14060の初期モデル（トリチウム夜光の「SWISS-T<25」表記など）や、 後期の「14060M」モデルは人気が高く、付属品の揃い方によってコレクション価値が大きく変わります。

■ 年代の一致が重要な理由

⌚ロレックスの保証書には、販売日やシリアル番号が記載されています。
その内容が時計本体の刻印（ケースサイドやラグのシリアル）と一致していることが、
「正規の販売経路で流通した本物」であることの信頼性を高めます。

⌚まれに、後年に別の箱や保証書を組み合わせて販売されている個体もありますが、
当店では本体と付属品の整合性を確認し、真贋や流通経路を慎重に査定いたします。
一致しているものは安心感が高く、国内外の需要も強いため、自然と高額査定につながります。

ムーブメントの状態・メンテナンス履歴

ロレックス サブマリーナ14060の査定で見逃せないのが、内部ムーブメントの状態です。
外装がきれいでも、内部機構に不具合がある場合は修理コストを考慮して査定額が下がることがあります。
当店では、外観だけでなく内部の動作チェックも丁寧に行い、総合的に評価しています。

■ Cal.3000とCal.3130、それぞれの特徴

サブマリーナ14060には、製造時期によって2種類のムーブメントが搭載されています。

Cal.3000（初期〜中期）：1990年代前半〜2000年代初頭
　→ シンプルで信頼性の高い設計。ヴィンテージモデルとして評価が高い。

Cal.3130（後期：14060M）：2000年代中盤以降
　→ 耐久性と精度が向上し、メンテナンス性にも優れたムーブメント。

どちらのムーブメントも完成度が高く、ロレックスらしい堅牢さを持っていますが、
査定では作動精度・巻き上げ感・針のスムーズさを重点的に確認します。

■ オーバーホール履歴の有無

ムーブメントの内部は、長期間使用すると潤滑油が乾き、精度が落ちていきます。
そのため、定期的なオーバーホール（分解清掃）を実施しているかどうかが非常に重要です。

メーカーや時計専門業者による整備証明書や修理明細が残っている場合は、
「大切にメンテナンスされてきた個体」としてプラス評価になります。

一方、長期間メンテナンスを行っていない個体は、
内部の油切れや部品摩耗の可能性を考慮し、修理費分を差し引いて査定する場合があります。

■ 動作チェックの具体項目

査定時には以下の点を丁寧に確認します。

秒針・分針・時針の動作にズレや引っかかりがないか

ゼンマイの巻き上げ時に異音や重さがないか

時刻合わせ・リューズ操作のスムーズさ

日差（時間のズレ）が許容範囲内か

これらのチェックを通して、機械としての健康状態を見極めます。
内部まで確認せずに外装だけで判断することはありません。